京阪電鉄不動産のグッドデザイン賞受賞物件

2018年度

ザ・パークハウス 中之島タワー
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ザ・パークハウス 中之島タワー
[ 大阪市北区/集合住宅 ]

概要

集合住宅では日本で初めて、火災時に管理スタッフと住民から構成される自衛消防隊による歩行困難者等の非常用エレベーターを利用した避難が可能となった超高層集合住宅。火災時における歩行困難者等の避難安全を実現するために、基準が整備されていない大阪市消防局に必要性を説明して議論を重ね、平面計画から防災設備や時間帯に応じた避難計画の運営体制等、実効性・安全性の高い避難計画を策定。この避難計画を全住民が熟知し、避難方法を習得することを目指し、所轄消防と連携した防災訓練の実施等、入居後サポートまでパッケージ化。互いに助け合うコミュニティの形成にもつながる。次世代都市型住宅のスタンダードとなることを目指した。

背景
昨今高層マンションが相次ぎ建設される中、歩行困難者等の社会進出が促進される一方で災害時における歩行困難者等の避難安全について十分に検討されている集合住宅はまだまだ少ない。東日本大震災以降、建物性能と備えに主眼を置いた集合住宅が標準化し、そのレベルは総じて高い基準に達しているが、超高齢社会を迎える日本においては高層建築に居住する高齢者も増えることが考えられ、災害時に従来の階段を使った避難方法では高齢者等の歩行困難者等が逃げ遅れる可能性もある。これを防ぐため、高層建築に歩行困難者等が居住することを想定した安全な避難方法を計画する必要性を強く感じ、「住民による住民のための防災力が高いマンション」をコンセプトとする新しい集合住宅をデザインしたいと考えた。全く新しい避難方法を生み出すのではなく、既存の防災設備を活用した、誰もが取り入れやすいシステムこそが最も重要であると考え開発に至る。
評価の
ポイント
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社会が高齢化に向かう一方で災害の危機は増している中、避難計画は大きな設計の主題となっている。タワーマンションという限られた平面計画の中で、避難エレベータへの活用は今後広く使われると予想される。ビジュアルには現れにくく、デザインという枠の中では地味に見えてしまうが、具体的な実績を作ったこと自体が素晴らしい。入居後のサポートまでパッケージ化されているとのこと、ぜひこの取り組みを続けて欲しい。
非常用エレベーターを活用した、安全な火災時避難計画
物件
コンセプト

集合住宅では日本初の火災時避難システムを採用

平常時から住民同士が助け合う体制を作り出し、近所付合いが希薄になりつつある都市居住に対して「向こう三軒両隣」文化を再構築するきっかけとなることを目指した。 入居後は住民が避難方法を熟知すると共に緊急時に適切な判断を下せるように日頃から訓練する事が重要であり、自立した自衛体制を築くために事業主・設計施工側がどう関わることができるかを考え続けてきた。実践的な防災計画書の作成と防災訓練の実施に向けて設計時から竣工まで所轄消防と連携し、入居後のサポートシステムを構築。

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